先日ある方より、『ジャズピアノをやっているのだが、自分の演奏を録音して聴いてみると全然ジャズっぽくない。何処が悪いのだろうか?』という内容のメールを頂きました。随分時間が経ってしまいましたが、私なりに少し考えてみたので書きます。ただ、メールを下さった彼女の演奏を実際に聴いたことはないので、これまでジャムセッションの参加者等の演奏を聴いてきたうえで感じることなのですが・・・。
表面上、『ジャズっぽくなく』聞こえる要因で、私の思い当たるところは以下の三点。
@ソロのフレージングにおけるクロマチック・アプローチが少ない、または殆ど無い。
Aリズムの研究が成されていない。ノリとかタイムの問題。
Bコンピングやバッキングのヴォイシングがシンプル過ぎて、テンション感が無い。
・・・考えた割にはフツウな答えでした。少しずつ解説しますが、こういうコトを文章にするのってホントに苦手なので、あまり複雑なところで突っ込まないでくださいね(笑)。
まず@は、単純に和声に対するアプローチの問題です。コード・トーンをそのまま弾いちゃっているだけ、とか、スケールで上下行しているだけというパターンがけっこう多いみたいな気がします。これは、そのコード・トーンに向かう半音上や下からのアプローチ・ノートを使う練習をすることで解決します。私は、コード・トーンに対して【全音(または半音)上→半音下→コード・トーン】を一拍三連符で弾くというパターンを作って練習していました。・・・分かり辛いですね(笑)。でもこれは和声的アドリブ・ソロの勉強の手始めに必ずやることだと思うので、初心に返ってコツコツやってみてください。
Aは誰しもが一番悩まなくてはいけないところであります。しかし、とりわけソロの最中などは、フレージングにばかり気を取られておろそかになりがちなところ。まずソロを取る時に意識したいのは、常に一拍を三連符に感じること。厳密にはそうでないのかもしれませんが、ジャズ理論上では【八分音符2つ=2:1に分けた三連符】となっていて、そのバウンスした感じを意識するだけでもジャズ独特の雰囲気は出るのではないでしょうか?全体のタイムについては以前にも書きましたが(
「タイムについて考える」)、ソロもバッキングもビートに対してゆったりと乗ること。振り子式のメトロノームに合わせて練習すると、一拍の幅がよく見えて分かりやすいです(電子式のだと、リズムが「点」にしか見えないのでダメ)。それから、よくアップビート(4/4拍子の2、4拍目)を感じて!と強調されますが、そのためにはダウンビート(1、3拍目)も確実に感じてくださいね。それだけでもかなりゆったりタイムで演奏出来ます。アップビートだけに気を取られていたら、テンポの速い曲などでは確実にリズムが突っ込んでしまいますよー。あと、バッキングではシンコペーションを使えていない人も多いので、往年のプレイヤー達の音源等をよく聴いたりして研究してみてください。ポイントは4拍目の裏です。ムフフ・・・。
Bはコード楽器にとっての重要課題。しかし、コツを掴めばとっても楽しい作業です。『ジャズっぽくなく』聞こえてしまう人に多いのは、単純にテンション・ノートが使えていなくて、スリー・コードのようなサウンドになっていること。これは、まず【ルートを抜いた三度以上の音を使ったクローズド・ポジション】の各種を左手に憶え込ませてしまうのが手っ取り早いです。テンションの位置や響きが分かれば、両手でのバッキングなどにも応用が利くと思いますので、うんと『ジャズっぽく』なると思います。ただし、#9thや#11thなどの使い過ぎには注意(笑)!あくまでメロディーに沿ったテンションの選択を・・・。
私の少ない知識とボキャブラリーで書けるのはこれくらいです。レッスン等で生徒さんに教えている人だったら、もっと分かりやすく説明出来るのでしょうね・・・。私は教育者ではないので、あまり参考にならないかもしれませんが、お許しを〜。そして『ジャズらしい』演奏が出来るようになってきたら、さらにもう一段、ステップアップしてみて下さい。リズムやソロのフレージングはとても大切ですが、何よりもそれが自分のヴォイスとなること。上手い下手とか、スタイルの問題ではなく、自分に正直な、作り物じゃない演奏を・・・・・それが『リアルなジャズ』だと、演奏家として、私は思います。